ルールと世界観

相変わらず完成しなさそうなシステム作成をしながら思ったことをつらつらと。


魔力、というのは、ルールから見たらパラメータ(変数)の一つに過ぎませんが、世界観的にはわりと大きな影響を与える要素です。
で、その位置づけをどのように考えるか、どちらを重視して性質を決定するか、というのはおそらくシステムごとに違うわけで。
私のスタンスとしては、世界観が主でルールが従である、というのが基本要件です。まあ、ルールの微調整のために世界観を微調整するぐらいはしますけども。


数値的なことを言えば、世界デザインよりも数値デザインのほうが、なんというかまあ、融通は効きます。固定値と乱数の関係にしたって、匙加減の問題でしかないわけですから。
システムの基本デザインとして考えれば、世界観によって匙加減を調整する、というのがまあ普通なのかなあ、というのが観念的にはありますが、要は「どのぐらいの強さが平均で、最大でどのぐらいで、最小でどのぐらいなのか」は成長率や成長ルールの調整で、「どのぐらいまで強くなれるのか」というのは、レベルキャップなりを追加すればいいわけです。
ルールというのは物理事象の記述法だという認識だと前に書きましたが、世界観には物理事象の法則も含まれるわけで、どうしてもルールよりも世界観が優越するんですが、たまによく、データの増加が世界観を裏切るというか破綻させることがあるように見える、というかルールをルールとして追及すると世界観を無視する構造がある、ということを感じます。
実際になにがそうであるかどうかは実はさして問題ではなくて、自分が作るものがそうであった場合、自分はそれをどう思うのか、というのが私にとっての問題です。なので、たとえばエンゼルギアのルールにはなんの意味があるのかなあ、とたまによく思うことは、別にどーでもいーんです。それはそういうものだという以上の感慨にはならないので。
他所様の作品については、たぶん、考え方が根本的に違うんでしょうし。物差しが違うのに、計測結果が違うと言ったところで、そりゃ物差しが違いますもんねえ、ということにしかならないでしょうから。そういうのは自由でいんじゃないですかね。


最近思ってることがあって、それは、TRPGゲーマーは、別にルールと世界観の整合性というものにはそんなに興味はないんじゃないかな、ということ。ルールはルール、世界観は世界観とわけているというか。成功値至上主義というか。中二病が激しかった頃、自分もそうだったなあ、と思うし、いまでもそんなに変わっちゃいないなとも思いますが、しかし、ルール自体がそれを求めているってのも大きいよなあ、とも思うわけです。
なんでしょう。変な表現になりますが、バランスが取れ過ぎているデータ、というのが一番簡単な言葉なんですけども。「このぐらいのレベルなら、このぐらいのボスデータでちょうどいい」みたいなバランスが行き過ぎると、一定以上のPC性能がなければボスは倒せないしシナリオ作成作法でもそういうボスを出すことが推奨されているようになっちゃってて(なぜならレベルに見合ったボスを倒さないと経験点があまりもらえない仕組みになってるから)、実は自由度なんてあんまりないんじゃないのかな、という形になっちゃってるというか。
もちろんそれは、判定というかルールの体系が戦闘に集約されるようになっているから、なんでしょう。そして、いわゆる見せ場の制御として、戦闘というのが、その他の場面よりも活躍を制御しやすいから、そうなるんでしょう……強い敵を倒すというのはわかりやすい活躍の場なわけですから。つまり、ただの消去法で戦闘に焦点が合ってる。


変な話、ユーザに一定以上の技量を求めないで見せ場を作ろうとすると、戦闘に焦点を合わさざるを得ないんだろう、というのが私の感想で、商業作品はそれでいんじゃね、っていうか当たり前じゃね、ということは最近思ってるので、まあそれはそういうもんだってことでいいんです。
ただ、そんな商業的な都合、販売的な都合にユーザがどこまでも付き合う理由も、またないわけで。そういうのは個人製作の領域でやればいいよね、と。
ということは。物語的TRPGというのは、そもそもがそうした、ニッチな領域でしか成立しない、つまり「誰でもわかりやすく遊べる仕組み」ではないのだとしたら、どっかのメーカがそういうルールを出さないというのは、まあ当たり前の話なんだろう、ってことです。そんなもん(作れたとしても)売れねえ。
よほど画期的な仕組みなら売れるのかもしれませんけど、どんぐらい画期的だったらいいのか、ちょっと想像しかねますなあ。


閑話休題


諸々の話をまとめると、最近はシノビガミに興味があるんですが、いまだに購入には至っていないのは、単なる怠惰ですよねすいません、というお話でした。
あの辺のシステムは勉強になりそうなんですけどねえ。見たら見たでパクッちゃいそうなんで怖くて見れません。