曇時々雪

 私はもうすぐ死ぬと思う。
 だからなにかを遺してみたい。
 だからなにも遺したくない。
 私があなたにとって忘れられない人になれたなら。
 私があなたにとってなんでもない人になれたなら。
 私が死ぬ価値はあるんだろうと思う。
 私が死ぬ時は、私の意志で死ぬ。
 そのためなら、天に弓引くことだってしてみせる。
 だって、天に見捨てられた体を抱えている私だから。


 だから怖いものなんてない。
 ただ憎い。