雑記:シナリオ作成講座番外2

シナリオというのは、そもそもなんですか。なんのためにあり、なにが書いてあり、なにをすることができるものですか。
というような疑問を持って欲しいわけではありません。TRPGにおけるシナリオ、という前提がある以上、「セッションにおいて」「GMが利用し」「進行の補助となるもの」です。
裏を返せば、シナリオには強制力なんてないし、あったら困ります。セッションの展開はGMとPLの組み合わせによって変わるし、展開が変わる時点で、シナリオに記述されている内容は参考以上にはできなくなるからです。


では、その前提にたった上で、シナリオ記述において必要なもの、必要最低限なものとはなんなのか、と考えた場合。それがなければセッション進行の補助にもならない、と考えた場合。"それさえあればシナリオ進行の補助になる"と考えた場合。
さて、なにが必要ですか?
回答はありません。GMの力量にもよるし、スタイルにもよるし、実際のセッションの展開にもよります。私ならシナリオのバックグラウンドとなっている情報があれば実際の展開の記述なんていりません。そのシナリオが置かれている状況、そのシナリオが始まるまでの状況さえわかれば、それでもうシナリオと呼べるし、実際それでマスタリングできるし、いままでそうしてきました。中途半端な本編記述なんてないほうがいい、というのが(特に公式シナリオをプレイした時の)感想です。


ただし、これだけは言えます。「最低限、自分がマスタリングする際に必要な情報が書き出されているもの」です。そしてこうも言えます。「最低限、自分がマスタリングする際に必要と思っている情報を、他のマスタリングする人に伝えられるもの」です。
両者には深くて暗い溝があります。受け手を想定できない文章というものは抽象的にならざるを得ないし、抽象的な説明というのは、大概現場においては困惑と混乱しか生み出しません。


私はシナリオにはカラーがあると思っています。そして当然ながら、流れがあると思います。カラーは流れと共に変化しますが、カラーの変化は流れに沿って自然に起こらなければなりません。
そして部分と全体は必ず相似します。そうではないシナリオというのもあるでしょうし、そういうのが好きな人もいるかもしれませんが、私はシナリオというのはそういうものだと思っています。
具体的には説明しづらいんですが、たとえば「登場キャラクター」を決定した時点で、「ストーリー」も自ずと決まる、というような感覚です。「ストーリー」が決まれば「登場キャラクター」が決まる、ということでもあります。どちらが上位でどちらが下位ということもなく、それらには相似性があり、どちらかが変わればもう片方も影響を受けるものです。
なので、「部分を決定する時点で全体を把握していなければならない」し、「全体を把握せずに部分を決定することもできない」と思っています。
より噛み砕くと、「部分の設定の積み重ねがシナリオ作成であり、ある部分の設定が決まった時点で、それ以前に決められていた設定が変化することがある」ということです。最初から全体が見えててそれに沿って部分を決めていけばそうした手戻りはありませんが、部分を優先して決定していく手法においては、当然ながら手戻りが発生します。


論旨が混沌としていますが、要は「部分と全体は相似する」ということと、「前提に沿って全体が設定される」ということです。目的意識こそが重要になります。
そして全体の設定のために前提を覆すことも必要だ、ということです。それらは上位下位の関係ではないからです。