シナリオ作成上の流儀

これはマスタリングに関わってくる話なのですが、というこの前文を書いた瞬間、「シナリオ作成」=「マスタリング流儀」だからこそ、他人の書いたシナリオは参考以上のものにならないし、技術自体は自分で試行錯誤していかなきゃいけないのかもしれない、なんてことを思いつつ。


私はあんまりシナリオの設定に自由度を設けるのは得意じゃありません。なので、舞台背景とか、登場人物(NPC)とかを、きっちり作りこむスタイルでシナリオを記述します。
しかし、それは運用においては、PLからのシナリオに対する干渉というのは、極端に制限されます。シナリオがある程度ゆるければ、PCがいきなり「実は俺はミカドの子供!」とか言い出してもかまわないわけですが、それがシナリオの重要要素に抵触したりすると困るので、私がGMをやる場合、「そういうのは事前に決めてね。お願いだから」というスタンスになります。
この辺が自分の性格がつまらないなあ、と思う部分でもあるんですが、セッションが始まった時点で、「設定」が確定していないと、うまくハンドリングができないというか、アドリブができません。まあまったく出来ないわけじゃないんですが、あまりできません。
なので、私のシナリオ記述法は、そうした設定に関わる部分、「NPCはどこの誰でどういう人物でどういう目的を持っているのか」と、「どのような状況下でそのキャラクターが行動するのか」をひたすら記述するだけで、本筋はあんまり書きません。今回予告ぐらいでしょうか。
極端な話、アドリブをするために必要な情報だけを書き出している、と言い換えることも出来ます。「このNPCはこういう設定だから、PCがこう動いてこういう状況になったら、こう反応するに違いない」ということを考えるための下地作りをします。それしかしませんとも言えます。
なので、「私のシナリオ」を素のまま他の人が見ても、たぶん理解はできません。「他の人が見ることを前提に書き足したシナリオ」でない限り、誰が作ってもそういうものだろうと思います。


私は極端な話、「自分が使えるシナリオを作れればいいんじゃないか」と思っています。「他人が使えるシナリオを作るのは、その次の段階でいいんじゃないか」と思うし、誰もがそんな技術を身につける必要はないとも思うからです。
実際上の問題として、自分が使えるシナリオを作るだけなら、三日もあればできます。ネタの書き出し、推敲、微調整で三日ぐらいです。PCが確定しているシナリオなら、一時間でも作れます。今回予告、ハンドアウト、終了、で一時間ぐらいです。これを他人が使えるシナリオにしようとすると、二週間ぐらいかかったりします。
セッションをする上で大事なのは、前者、三日で作れる自分用シナリオであって、二週間かけて作る他人用シナリオではないんじゃないでしょうか。この辺を混同して、「シナリオを作成する」という強迫観念に囚われると、いたずらに難易度が高く手間のかかるシナリオ作りに邁進していくことになるんじゃないだろうか……と漠然と思いました。
シナリオ作成教室の注意書きに、この辺を追記しておかなきゃ。