特技《即席修理》

昨日ちょっと議論になったのでまとめ。


1.《即席修理》の効果範囲は広すぎないか?

HP及び負傷ゲージも修理可能、となっているが、HPと負傷ゲージの特性上、負傷ゲージは外面に反映されるダメージの度合いを示し、HPはそうではない、となっている。
逆説的には、外面がダメージを受けた=装甲が傷ついた場合、装甲自体を修復しない限り、負傷ゲージは回復させられないのではないか?
そういったイメージから、《即席修理》で回復できるのは、HP、シュネルギアの場合はケルンの膜の部分のみではないか。


2.《メイデイ》が回復可能な怪我とは?

前提として、エーテル通信が可能な条件下においては、遠距離においても《メイデイ》は使用可能なものとする。
その上で、《メイデイ》はどこまでの怪我が回復可能かとなった場合、《即席修理》同様、重傷な怪我(腕が折れるに始まり、縫合が必要な裂傷、腕などの喪失)の場合、これを回復することが出来るのか?
もしこれらの重傷を回復できない場合、負傷ゲージの重傷は回復できないものとしなければならない。


3.昨日の議論の肝

「特技だから修理or回復ができる」という意見も出たが、それは特技というものの特性を誤っている。というのも、特技というのは、「元来できることをさらに強力にする」ものであって、万能でも魔法でもないと思われるからだ。
射撃系の特技は、弾丸がない状況では使用できない。白兵系の特技は、得物がない状況では使用できない*1。前提条件を満たした上で発動するが、前提条件そのものを無視、あるいは覆すことができる場合、それは特技ではない。*2

上記《即席修理》及び《メイデイ》で肝となるのは、《即席修理》の前提となる《整備》技能が、どういった特性を持っているのか、ということになる。これは、簡単に言ってしまえば無機物の修理を可能とする技能*3として説明されているが、どのような環境において、どのように効果を発揮するかは定義されていない。
これは、細かな運用を想定した上で、使用可能な環境等を定義してしまうことは運用の幅を狭めることに繋がるため、と思われる。そうであるなら、一般的に「整備作業」として想定される環境が整っている必要があるともいえる。セッションに参加する全員が共通してイメージする「整備作業」は、現実に解を求めるしかなく、現実の「整備作業」は、魔法ではない。

そうした「整備」のイメージから、《即席修理》のイメージを膨らませる場合、例えば整備に一週間かかる作業を半分で終わらせる、これは整備技能の範疇になると思われる。《整備》の判定を行い、成功度が著しく高ければ、「可能ではないか」と思われるからだ。
しかし例えばこれを一日で完了させようとしたとする。こうなると、どれだけ成功度が高くても*4、「物理的に不可能」と思われる。例としてシュネルギアをあげると、一体のシュネルギアの修理に同時に当たれる人員には上限があり、それを超えても効率が落ちるばかりで速度の向上は認められず、また、人数に正比例して作業量が増加することもありえないからだ。*5
そうした現実から想定し、「即席で修理を終わらせる」(しかも戦闘中に)と考えた場合、装甲を張り替えたり、腕部や脚部を交換したりすることは、まずありえない。そしてそれができないのであれば、軽傷ゲージや重傷ゲージを回復させることはありえないことになる。

「小型の修理機を使用してリモートで回復させることはできるんじゃないか?」という意見もあったが、これは回答にはなりえない。なぜなら、そんなものがあるのなら、戦闘中、常時修理を受けていて当たり前になるからである。
整備兵は、PCとは無関係なところで機体の整備を行っている。シーンが変われば負傷ゲージがすべて回復するのは、これら整備兵がPCとは無関係に機体の整備を行っているからである。
そして、整備兵が、「整備可能であるのに」戦闘中に整備を行わない、という理屈は、存在しないことになる。しかし、戦闘中に機体の回復が自動的に行われることはない。
可能か不可能かで言えば小型修理機による修理は可能だが、それはゲーム全体のイメージを破綻させることになる。
「小型修理機を扱うのが《即席修理》の意味するところだ」ということになると、それは前提からおかしな話になるので、これは取り上げないものとする。

上記のような「現在ゲーム内で行われていること」を破綻させずに《即席修理》の特技を見直した場合、負傷ゲージを回復するのは、イメージにそぐわない。このイメージを破綻させずに負傷ゲージを回復させるための技術的解決策があるのであれば、それは問題ない。
《メイデイ》は、エーテル通信が可能な場合のみ、という制限がよく行われている。エーテルを利用して回復させるからだ。
《即席修理》が、視界を範囲に行われる場合、なにに基づいているのか、まったく説明が出来ていない。目で見て機械を直せるのなら、それはすでに人間ではないだろう。

*1:格闘系でも使用可能な場合はあるが、あえて区別する

*2:「戦艦の陳情」というネタがよく話題に出るが、戦艦自体が存在しない場合、陳情の判定に成功しても戦艦が準備されることはありえない。陳情は特技ではないが、例として取り上げる

*3:ただし、技能なし値として、すべての技能は1Lvで習得しているものとみなされるため、実際には修理が不可能な人間というのは存在しない

*4:福音のような「奇跡」は除外するが

*5:人数が増えるに従って、一人あたりの作業量は見かけ上、減少する。これは作業員間でのコミュニケーションが発生するからであり、これを排除することはできない。プロジェクト等に参加し、複数人員で作業を行ったことがあれば、これは自明のものである