情報の隠匿に見るシナリオ展開

なんでもかんでも開陳すればいいわけではない。
なんでもかんでも隠匿すればいいわけではない。
では、その線引きをどこに持ってくるのか。


結論。
「PLの考える力を求めるなら、情報は開陳する必要がある」
「PLに考える力を求めないなら、情報は隠匿する必要がある」


ここで言う情報とは、「シナリオに関わる情報」であって、「シナリオ進行に必須となる情報」ではありません。
いわば裏設定、おまけ部分、「あってもなくてもシナリオ的には困らない情報」です。


「あるギアドライバーが、休暇中に美少女と出会った。美少女は休みの度に君を呼び出す。美少女の目的はなんなのだろうか」
というストーリーがあった場合、必須となる情報は、「美少女の正体」と「美少女の目的」であって、「美少女の過去設定」やら「美少女のキャラクター設定」やらは必要ありません。なくてもセッションは回ります。*1
ヒーロー物のノリで、「クライマックスは正体を現した美少女との対決」であるなら、これで問題ありません。「PLは考える必要がない」ままに、スカッとしたりしなかったりする戦闘をすればいいでしょう。
メロドラマ物のノリで「クライマックスは美少女の正体を知ったギアドライバーが煩悶する」のなら、ギアドライバーが煩悶できるだけの肉付けをする必要があります。案山子を相手に盛り上がれといわれても正直厳しい。出来なくはないだろうけど、「なにをしろと」という気分になってしまう。


ここで言う「考える」という行為が、何に根ざして、また、何を対象としているのか。それがキーポイントになるわけです。
ここでは、「キャラクターについて考える」ことを「考える」と定義します。PCでも、NPCでもいいです。「その世界に存在するキャラクター」について考えることを考えるとします。
ドラスティックにシステマチックに進行するなら、必要のない要素です。そういう場合は、「不必要な情報は隠匿する」のがベストです。無闇に選択肢を広げるというのは、自由ではなく、ただの掌握力のなさです。
ドラマチックにヒューマンテイストに進行するなら、必要になってきます。「葛藤」「煩悶」「決断」「後悔」みたいなキーワードが好きなら、必須といえます。


PCによってロールを変えるように、GMはシナリオによってマスタリングを変える必要があるな、と最近気づきました。
無闇に情報を開示しても、失敗することがある。
無闇に情報を隠匿しても、失敗することがある。
その線引きの基準をどこに設定するのか、の一例として、「PLに求めるもの」にしてみました。
多分他にも線引きすべき要素は一杯あります。それらが合わさって、最終的に情報の開示量は決まるんだと思います。
必要最低限の分量を見極めるのが、まず大変なんですけども。

*1:ロールしづらいとかはあるかもしれませんが