セッションについて(3)

今回はキャラクター造形について。
こういうのは大体私見になると思うので*1、その分を割り引いて読んでください。


さて、私がキャラクターを作る際にもっとも重要視するのが「発言」と「そのバックグラウンド」です。
基本的にあまり設定を作らないでキャラを作る、というようなことを以前言明していますが、そういったスタンスだからといって、「設定をまったく作らない」わけではありません。あくまでもキャラクター作成時に作らないだけです。
なぜか。そのほうがキャラクターをロールする上での自由度が高いからです。
ある場面において、どのような人格設定であれ、なにか選択をしなければならないとなった時、どちらを選択するかについては、人格設定が関わってくる……と考える人が多いと思いますが、私はそんなことはないと思ってます。
では「なにがそのキャラクターに選択をさせるのか」というと、そのキャラクターの過去だと考えています。
いわゆる熱血系主人公がいたとしましょう。敵を倒すか、味方を助けるか、どちらかを選ばなければならない状況に陥ったとしましょう。熱血キャラとしてはこれが一番正統だとは思いますが「敵を倒して味方を助ける」という選択肢をとりあえず除外して、さてどちらを選ぶか? ということを考える場合、「熱血だから」というのは、選択においてなんら影響を与えないものだと私は認識しています。


・「熱血だから味方を助ける」
 別に変じゃないですよね。味方思いなんでしょう。
・「熱血だから敵を倒す」
 いわゆる公共の敵ですからね。味方が犠牲になろうとも倒さなければならないんでしょう。


どちらも選べるということは、選択というのは非常に恣意的なものだということです。どのような判断が正しいと思うのか、については、もちろんPLの意向*2もありますが、ロールをする上では、「そのキャラクターがどちらを正しいと感じるか」あるいは「どちらを耐え難いと感じるか」によって選択されます。
同じ(あるいは似た)状況を過去に経験したことがあるキャラクターであれば、どちらかの選択肢を選ぶ確率は非常に高くなります。「味方を助けた結果、さらなる被害をもたらしてしまった」り、「敵を倒した結果、味方が死んでしまった」り、そういったものがトラウマになったりすると思います。
そういったトラウマをバネに、以前とは違う選択肢を選ぶか、それとも信念を変えずに同じ選択肢を選ぶかはあると思いますが、選択の恣意性は、キャラクターの過去によって偏りをみせます。
なので、私が「あんまり設定は作らない」のは、セッション中において行われたロールの結果、そのキャラクターの過去を合理的に構築していく手法を好むからです。「こういうことをしたのは、こういう過去があったから」という部分すらアドリブで賄うため、といえるでしょう。
事前に過去を構築して、「だからこういうことをした*3んだ」とするのが一般的だと思います。しかしそれだとアドリブの幅に制限がつくのもまた事実です。未来はともかく、過去を変えられませんから。
過去すらアドリブで賄おうとすると、必然的にこうなった……というのが私のキャラクター作成方法です。


キャラクター造形において欠かせない要素はもう一つあります。「キャラクターの欲求」です。
過去というのは、現在を説明、あるいは演じる上で必要になる要素です。しかし、それだけでは未来は演じることが出来ません。過去と未来が直結してるキャラもいるとは思いますが*4、どのような過去であれ、未来の選択というのは、これまた恣意的なものです。
GMとPCの関係において、難しいというかめんどくさい要素として、「PCが選択する内容は未知数」というものがあります。シナリオをどれだけ練りこんで事前に用意したとしても、PCの*5気まぐれでまったく想定外の事態が発生しえます。
それを極力抑える、または回避するための手法として、「キャラクターがなにを要求しているのか」を共通理解にしておくことがあげられます。なぜかというと、「キャラクターの望み通りの餌をぶら下げているのだから、そう簡単に断ることはないだろう」という予測が立てられるからです。まあ、あてにはなりませんが、気休めにはなります。
逆に「餌が露骨に怪しい、あるいは危ない場合、普通、断るだろう」というような予測も立てられます*6
これは私がキャラクターを継続して使用する環境で遊んでいるからこその考えかもしれません。単発で使うキャラに過去設定も未来設定もないだろうという気はします。
しかし、「空気を読む」というのは、「そのキャラクターがなにを考え、なにを望んでいるのか」がわからない限り、出来ません。それがわかれば読めるということでもありませんが、それがわからなければ読めない以上、最低限、それは把握できるようにする必要があります。
「自分のキャラクターへの愛着」と同じぐらい、「他人のキャラクターへの興味」を持って接することができれば、空気を読むことも難しくないかもしれません。
なんにせよ、設定ややりたいことについては、無駄なぐらい積極的にオープンにしていくのが一番だろう、というのが最近の私の流儀です。

*1:共通理解化するには、スタンスの差異を吸収できるだけの説明力がないからですが

*2:どっちがかっこいいか、とか

*3:こういう事件を起こした

*4:こういう過去があるからこういうことを望んでるんだ、というような

*5:そしてPLの

*6:PLに勘違いされて「餌ぶら下げてるんだから怪しくても食いつかなきゃ!」って判断されると辛いですが