セッションについて(4)

思いついたので。
今回は「マスタリングについて」です。
でもそんな大したことは書きません。


GMをやる場合の心構えとして、「GMをやっているときは虚勢でも自信を持ってプレイしているように見せる」というのがあると思います。
私の場合、大概セッション中に、意味のない発言をしたりして、虚勢を張ってます。「実はね……」と言いつつ、その先を隠して進めるとか、「おや、伏線がスルーされたかな?」とか言いつつ、適当にアドリブで伏線っぽいものを提示しただけとか。*1
「安心できるGM」というのはたぶんどんな人でも「きちんとマスタリングをする準備をしてくれている人」だと思うんですが、私自身はそんなイメージに真っ向対立するようなやり方しかしてない*2ので、余計に虚勢を張る必要が出てきます。*3
虚勢でもなんでも、「見せ掛けの安心感」があれば、とりあえずその場はそのように流れるものです。セッション中は、PLの心理的にも、それほど余裕はありません*4。そこでさらに「PLの心情が」不安定になるような言動をGMがすることは、ご法度に近いと思います。初心者なんでー、とか、自信がない……という本音はあると思いますが、GMの不安をPLに伝染させて「失敗してもしょうがないよね?」という空気を作るのは、心構えとしていただけない、ということです。*5
大体、PLは実際にはGMのマスタリングなんて、それほど注目してるわけでもないです。*6


PLがGMに望むものは「自分のやりたいことをやらせてくれること」であって、それ以上でも以下でもありません。奇抜な展開を用意すればPLは喜びますが、奇抜すぎれば引きます。奇抜すぎるというのは、展開が唐突であったり、それまでのPL側のやったことをまったく拾い上げていなかったりといろいろな要因がありますが、私は「GMが一番こだわっている要素を、途中展開を無視して表現しようとした場合」にそうなると考えています。これは事前準備をしているGMのほうがやってしまいやすい行為です。*7
総合すると、準備しすぎると融通が効かなくなるけど、準備してくれてないとPLは不安になるので、できるだけ事前準備をしていることが望ましいけど、そうすると融通が(以下略)というループ構造になってしまいます。
で、私の解決策は、「準備している振りをするけど実際にはあんまり準備していないのでアドリブも容易な程度のイメージだけを構築しておく」ことになります。他にもいろいろと解決方法があると思いますが、私はとりあえずそういった方法です。
言ってみればPLを騙してるだけです。詐欺みたいなもんですね。「自分のやりたいことをやらせてくれること」がPLの望みだと書きましたが、それは「自分のやりたいことをやらせてくれてると思うこと」と同義です。やりたいこと自体を騙すとアレですが、やりたいことをやれてるんだー、と思わせるのは大事なことです。
PLを騙している、と表現すると拒否反応が出ると思いますが、では逆に、PLを騙さないでセッションを行うGMがいるんでしょうか。騙すという表現がネガティブなイメージがありますが、実際には多かれ少なかれGMというものはPLを意図的に、あるいは無意識的に誘導して、シナリオに沿うように「騙して」いると言えるんじゃないでしょうか。
それすらもしないGM、というのは、すでにGMではないと言い切ってもいいと思います。「PLの誤認識を積極的に利用する」のでもなければ、どうしてどんでん返しが生まれるでしょう?*8 物語におけるカタルシスとは、誤認識への誘導が前提であり、マスタリングというのは多かれ少なかれ、そうした心理の裏を掻くことを技術的な前提としているものです。*9


私はこういう書き方しか出来ないのでネガティブに捉えられる可能性を意識していますが、それでもこういう書き方しか出来ないので、なんかポジティブに捉えられるように好意的に解釈してもらえれば、それなりに意味のある文章だと思います。
GMのマスタリングも同様で、「PLがネガティブに捉えようとする限りネガティブなもの」として認識されます。「PLがポジティブに捉えようとするとポジティブなもの」として認識されることが多いと思います。*10
なので、GMとPLの間には、まず信頼関係ありきで、その信頼関係は、「共通の目的」のために履行されるべきという打算に基づいていてもよくて、そのためにも、「共通の目的」を設定する、コンセンサスを醸成しておくという前準備こそがマスタリングにおいて一番大事なんじゃないかなー、と最初の論旨とは全然関係ない落ちをいきなり用意してこの話は終了です。
「コンセンサスを醸成する」ための技術としてのはったりであって、「詐術を行うためのはったり」ではないんですよ、という目的意識の設定を間違えないでくださいね、という結論が書きたかっただけです。

*1:やりすぎて「やべなんか見過ごした? 俺ピンチ?」とかPLに思わせてしまうこともしばしばですが

*2:事前準備なんてイメージ固まってりゃいいんだよハハハ

*3:私がいま遊んでいるエンゼルギアは特に「ミリタリ」という一般的ではない要素がフレーバーになっているので、これをどう処理するかははったり要素が濃くなると思います。ミリタリなんて定義からして千差万別すぎて……

*4:ある人もいるかもしれないし、状況的に余裕のある瞬間もあるかもしれませんが

*5:これが完璧に実践できれば苦労はないんですが、私の言動によくある「設定すべき理想」としてのお話です

*6:ただの経験則ですが

*7:ただしこれは良し悪しで判断される行為ではありません

*8:そういうことをしないマスタリングもあると思いますが、どんなシナリオでも「びっくり要素」はあるでしょう、という前提です

*9:ただし、環境依存要素です。また、PLとGMは対等なので、GMの詐術が一方的に成功することもないし、PLが詐術を仕掛けてくることだってあります

*10:これは別にマスタリングに限りませんが