まず単純化してみようじゃないですか

起点

ハヤテのごとく!』はテーブルトークRPGである - tanabeebanatの日記
http://d.hatena.ne.jp/tanabeebanat/20080419#1208573778

反応

黒いネタ手帳 : そう見えるのかもしれないが・・・
http://kwan.exblog.jp/8427910/

関連

ハヤテはTRPG? 日常を切り出す群像劇 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込む
http://d.hatena.ne.jp/accelerator/20080423/p1

そして私の視点。
つい最近こんなエントリの書き方をしたような気がする。


まずは起点のid:tanabeebanatさんのエントリについて。
ハヤテのごとく!TRPGにすることは可能です。そういう意味では、ハヤテのごとく!TRPGであるとすることに否はありません。というか文句なんてつけようがありません。
作者の脳内パラメータに基づき、脳内判定ルールに則って作成しているのかもしれない、という観点から見た場合、いわゆるゲーム的である可能性はあるでしょう。
そして作者=GMの都合によってゴールデンルールが持ち出され、それらのパラメータも判定ルールも度外視されていることもあるでしょう。
ただしそれは物語の構築作業をTRPG的に語っているというだけのことであって、言ってみれば牽強付会に過ぎなくて、否定できないことを言っているだけ、と言い換えることもできます。悪魔の証明はできません。
真かもしれないし偽かもしれない。それは論理の問題ではなく感性の問題にすぎないので、それを云々してもしょうがないということになります。「まーそういう意見もあるよねー」というだけのことです。


で、それに対する黒いネタ手帳さんの反応のエントリについて。
ハヤテの行動は他のPLの事情や都合を無視しすぎている、という部分がありますが、それを持ってしてTRPGではない、と言うことはできません。TRPG、あるいはセッションの目的というのは、卓ごとの合意事項にすぎなく、TRPGはこうでなければならない、というものはないからです。
そして"ハヤテのごとく!TRPG"における合意事項、コンセンサス、達成目的は、PLが仲良くすることでもPCが仲良くすることでもなく、ましてやハーレムを目指すわけでも勇者になる物語なわけでもなく、「観覧者(第三者)の笑いを取る」ということなだけです。
そのためならハヤテのように利己的な行動を取ったってかまいません。「どういう笑いを狙うか」についてその卓における合意事項が取れているわけですから。
むしろハヤテのように自分勝手な行動を取らず、結果的に笑いを生まないほうが、空気が読めてない行動になってしまいます。そのほうが卓が白ける環境であるわけだし、言ってみればボケと突っ込みの役割分担ができていない状況になるだけなわけですから。
通常のTRPGのセッションの場には、観覧者はいませんから、観客の空気みたいなものは意識しづらいですが、"ハヤテのごとく!TRPG"の大前提に、GMでもPLでもない第三者が設定されていると考えれば、おかしなことはありません。


それに関連するid:acceleratorさんとこの意見として、アニメファンにTRPGを知ってもらう切っ掛けとしての活用、ということが取り上げられてますが、私の観点はちょっと違って、「TRPGやったことない人にはTRPGはこういう風に見えることもあるんだなー」ってのがあります。
ロードス島戦記は小説もリプレイも読んでますけども、これは非常に個人的な意見ですが、小説とリプレイは同軸では語れないし、ましてやセッションにおいてはなにをいわんや、と言ったところです。
セッションもやるしリプレイ編集もするし小説も書く立場から、そう思ってます。
それぞれ目的のまったく異なる表現形態であり、小説には小説の、リプレイにはリプレイの、そしてセッションにはセッションの目的があり、それを表現するための技術、形式があります。


大前提として、これらはまったく別物であると認識しなければならないという点で、黒いネタ手帳さんのおっしゃる通りです。実際にセッションをしたことのある人の視点からは、そんなもん一緒にしないでくれよ、と思います。
でも、やったことない人にしてみれば、区別するようなものでもない、ということです。TRPGのセッションがあって、それをベースにしたリプレイがあって、小説もある、と聞いた場合、「あーこの小説ってTRPGなんだー」って思える、って部分のほうが、重要になります。
間違ってるとかそういうことじゃないんです。単純に「違うことがわかんない」だけなんです。馬鹿にしてるわけでもけなしてるわけでもなく、初めてセッションをするまでは自分もそうだったな、という思い出話として。
だから、「やったことないからわからんかもしれんけど、セッションしてみないとTRPGはわからんよ」なんて言ってもしょーがないんです。id:tanabeebanatさんは、自分はやったことないですよ、と明言しているので、読み手にTRPGが誤解される可能性はありますが、そういうのはとりあえず置いておいても、「じゃあちょっと一緒にやってみん?」と言うぐらいじゃないといけないのかな、と私は思います。なにがわかんないのかわかんないわけですから、それは違うというなら、わかるようにしてあげないといけないと。
だからこそ黒いネタ手帳さん具体例をあげて「それちゃうねん」と書かれてるんだと思いますけども。


で、その上で、「いや、でも別にやる気はないんだけどね」って話になったら、「読み手がTRPGを誤解するような書き方はしないで欲しいなあ、TRPGプレイヤとして」って言えばいんじゃないでしょうかね。
まともにサッカーしたことない私が「キャプテン翼は本当のサッカーなんだよ!」とかいったら、たぶんサッカー経験者から「ふざけんな」って言われるような話だと思うし、言い方を変えれば、それだけの話じゃないんですかね。