オフラインの代替ではないオンラインの導入

いままで散々オンラインでセッションしてきてなんですが、オンラインの使い方を間違ってるんじゃないだろうか、とふと思いまして。
というのも、「オンライン化」として考えるのではなく、「IT化」として捉えなければダメなんじゃないだろうか、と思ったわけです。
さて、ではITを導入する際に、気をつけなければならないことを考えていきましょう。

  • コスト削減

極端な話、IT化というのは、人件費を含む経費を削減するためのものです。
ということは、オンライン化することに伴って、なんらかの節約が発生する、という前提を持つ必要があります。
具体的にオンラインでセッションを行うことによって節約できるものはなにかといえば、移動コストと会場コストですね。自宅でもネットカフェでもいいですが、「全員が集まりやすい場所」に移動したり、「全員が入れる場所」を確保したりする必要がなくなる、ということです。
これらの点に特に問題がない場合(部活動とか)は、コスト削減効果は見込めないことになります。IT化しなくてもいい要素、ということですね。

  • 処理の公平化

例えばルール適用であったり、ダイスロールだったりしますが、判断のブレやいかさまを極力封じることができるようになります。
実際に判定の可否を判断するのはGMだったとしても、少なくとも実行タイミングがおかしい場合は警告が出たりすれば、そのルールが適切かどうかは判断できるし、適切ではないとわかった上で適用することもできるようになります。
言い換えれば、客観性の確保でしょうか。判断主体としてのユーザは存在するにしろ、客体として生身の人間ではなく血も涙もないプログラムを用意する、ということです。
ルールの適用がいい加減でもかまわなかったり、ダイスロールでいかさましても困らなかったりする場合、当然ながら必要ない要素です。

  • 処理の迅速化

大量にダイスを振るシステムの場合、例えば百個とか振る場合、快感はあるかもしれませんが計算は大変です。これをプログラム化してしまうと、味気も色気もないかもしれませんが、処理は一瞬で完了します。処理時間はダイス数とプログラムの作り次第ですけど。
また、そんなに大量にダイスを振るのでなくても、たとえば「能力値+技能レベル+装備補正+特技補正」みたいな感じで修正が積み上がるタイプのシステムでも、いちいち検算する必要もなく一瞬で判定することができます。
暗算得意な人がいたり、別に判定なんて雰囲気でいいんだよって場合は、必要ない要素です。暗算得意って問題ではないような気もしますが。


ともあれ。
IT化には、結局コストがかかります。そのコストに見合ったメリットがない場合、IT化する必要はありません。このコストは、社会的な状況だったり個人的な事情だったりして、誰もが同じようなコスト意識になるとは、必ずしもなりません。パソコンを買ってインターネットを始めたり、それができなければインターネットカフェを使うというようなことも、社会人と中学生ではコストの重みが桁違いに違います。
オンラインセッションは"機会損失を減らすことができる"メリットが一番大きい、と私は考えています。オフラインに比べると比べるべくもないほどに。
しかしその先にあるのは(最近だとskypeで音声通話もあるかもですが)より複雑化したコミュニケーション様式なのです。現代の社会においては、オフラインコミュニケーションが前提で、オンラインコミュニケーションはそれと同じにはできず、その差を埋めるために結局はコストがかかるわけです。音声通話しようとするとインカムとか必要になって結局金銭コストかかりますしね。
将来は違うかもしれません。オンラインがもっと当たり前に普及しているかもしれません。しかし現時点で未来予想図を元にした希望的観測を語っても仕方がありません。
おそらく過渡期なのだろう、と私は思います。その過渡期を乗り越えるためには……さて、なにが必要になるんでしょうね。


というようなことを途中まで書いてたらid:inouekariさんとこにこのエントリが。

2008-07-12 - GMブログ - game master
http://gamemaster.g.hatena.ne.jp/inouekari/20080712#1215809542

悔しくなったので適当に続きを書いてみました。まあいちおう職業SEの私が言いたかったのは「IT化はきちんと費用対効果を考えて、選択と集中を前提にしなきゃダメ」ってことです。