役職と立場

ちょっと元記事をどこで読んだのか覚えてないというか探せなかったので記憶を頼りに書くことになります。話半分ぐらいで読んでください。
日経ビジネスオンラインの記事だったと思うので、まあ仕事関係の話が起点です。


TRPGにおいて、GMとPLという立場は、それぞれ何を見て、何を考えているのか。
あるいは、GMはなにを見ていたほうがよくて、PLはなにを見てたほうがいいのか。そこの観念的なものをちょっと整理したいと思い立ちました。


会社では、部長とか課長とか係長とか平社員とか、まあ役職があって、職分があって、それぞれやることが違うわけです。
部長(むしろ経営層)なら、会社全体の中で自分の部署の役割を考えて、部下に仕事上の目標とかを指示したりする。
課長とか係長は、部長(というよりは経営層)の決めた目標とかに従って、それを現場レベルに落とし込むというか、現場レベルでどうするか、具体的に誰にどんな仕事を担当させるかとか、そういうことを指示したりする。中間管理職ですね。
平社員は、上長(上司)からの指示を受けて、それを実現するというか実践したりする。
そういった役割分担の中で、それぞれ見ているものもやらなきゃいけないことも違うわけですから、考え方もやり方もそれぞれの役職にあったものが必要になってくる。部長職が平社員と同じことを考えてたら会社は立ち行かないということですね。まあ会社の規模にもよる話かもしれませんが。


では、GMというのは、セッションという場において、どういった役職に相当するのか。
セッションをどう捉えるか、比定するか、で変わってくる話だとは思いますが、セッションを部署というか、TRPGを会社とした場合、実践の場であるセッションは部署に相当する、とここではします。工場のラインに近いかもしれません。システム設計とかは別の部署(というかシステムメーカー)の担当で、あくまでも遊ぶ場である、実行する現場であるということです。
そうした中で、GMは課長とか係長とかの中間管理職、ということになります。運営方法とか運営方針は、それこそシステムメーカーが(システムごとに)例示してくれているし、それを実行するのはPLがいるので、GMはいかにセッションを円滑に進めるか、がミソになってくる。ルールを(覚えて)適用したりコミュニケーションを円滑にしたり、ってことです。


で、実際の会社で、じゃあ中間管理職と平社員はなにが違うのか、って話です。これ、実際のところ、それほど大きく違うわけでもない。見ているものもやらなきゃいけないものも大体同じ。違うのは、中間管理職は上と下を同時に見ながら仕事しなきゃいけないけど、平社員は上だけ見ていればいいってこと。横も見なきゃかもですが、横とは指示を出したり受けたりする命令系統ではないので除外します。層で並ぶ関係は協力するものですからね。
そして、ここで言う上下は、命令(指示)の流れとして、上から下に行く、ってところを強調しておきます。
じゃあGMにとっての上ってなに? って話で。TRPGにおける経営層、常にその指示に従わなきゃいけない対象ってなに? ってことです。


たとえばあるGMは、使用するシステムのルールブックに明記されている「現代で超人が活躍し勧善懲悪を楽しむゲーム」を実践し、PLにも実行させようと準備していたとします。
一方のPLは、「今回は勧善懲悪ではなくてダークヒーローがやりたい」と勝手に決めていたとします。
普通に事故りますよね、そんなの。
どっちが悪い、って話ではないです。ただ、GMは「勧善懲悪物語」を展開するために、わかりやすーい明快な悪人を出してみたら、PLのほうがもっと悪人ぽかったとか、それだけといえばそれだけのことです。
しかし詳細にこの流れを追うと、まずGMに指示を出す存在がいます。システム制作者が設定した「現代で超人が活躍し勧善懲悪を楽しむ」という指示です。GMはそれを素直に受け、実行しようとしました。しかしGMは、もしかしたらそれをPLに伝えなかったのかもしれない。あるいは伝えていたかもしれないけれど、PLは「現代で超人が活躍して楽しむ」と理解したのかもしれない。どちらにせよそこには齟齬があり、当然のようにうまくいかない。


うまくいかなかった時に調整ができるかどうか。失敗してしまった時にリカバリができるかどうか。そうしたfail safeを、GMもPLもきちんと認識しているか? 認識できるか? おそらく問題はそうした点に移行していきます。
論点のすり替えかもしれませんが、TRPGにおいては、そうした問題が発生することを、誰が明記しているんでしょう? GMは、単純にルールブックの指針に従ってやっただけかもしれない。でも、ルールブックには、そういう問題があるかもしれないとは書いていなかったかもしれない。その場合、悪いのはGM? ルールブックを書いたシステム制作者?
論点のすり替えはなすりつけの構図です。ではなぜ論点のすり替えができるのかといえば、論理の前提が整理されていないからです。
だから私は「自由なTRPG」なんてやめましょうよ、と思ってますし言い続けてます。それは、きちんと「TRPGは自由だけど、これこれこういうことを守らないとおかしくなるから、自由にもルールを作りましょうね」ってことを話し合うべきだ、ってことです。