シナリオ再構築−デモンパラサイト「力の代償」その2(追記あり)

調子に乗って再構築その2をやってみたいと思います。

[TRPG] シナリオカルテによるシナリオ診断: Dragonoid Factory
http://dragonoid.txt-nifty.com/df/2009/06/trpg-85d7.html

今回はキャストの立ち位置を下記のように変更した場合で再構築してみます。

  • 前回=今回
  • 犯人A=被害者A
  • 被害者B=犯人B
  • 同僚C=同僚C

攻守入れ替え、ってところですね。
私はシナリオ作るときにこの手の入れ替えとか組み替えをして、しっくりくるのを選ぶようにしてます。のでまあ、今回もやってみますという感じで。


念のため、前回のはこちら。

シナリオ再構築−デモンパラサイト「力の代償」 - TRPG履歴
http://d.hatena.ne.jp/standby/20090611/p1


今回は攻守入れ替えなので、キャラクター設定が大きく変わります。ですがまあ、多少弄ったところで大きくプロットが変わることもない、というところを例示しつつ、前回出した材料の調理方法を変えるだけでこんだけできますよー、みたいなのを出していこうと思います。

被害者Aの目的

横領している上司、犯人Bを止めたい。
犯人Bにセクハラされてる同僚Cを助けたい。

犯人Bの目的

横領の証拠を掴んだらしい被害者Aの口をふさぎたい。
一向に言うことを聞かない同僚Cを自分のものにしたい。

同僚Cの目的

とりあえず犯人Bのセクハラをやめて欲しい。
被害者Aに無茶はしてほしくない。

被害者Aの立場

犯人Bの部下。現在は犯人Bに襲撃されて入院中。意識不明の重体。
ここのところの不況で犯人Bが連帯保証人になっていた会社(下請け工場?)が潰れ、犯人Bに大きな借金が出来てしまい、犯人Bは横領(あるいは賄賂、もしくは両方?)することによってこの危機を乗り切ろうと魔が差してしまったことを知っている。
犯人Bには入社当時から世話になっているので、犯罪行為はやめて欲しいと思って、いろいろと自分なりに調査していた。ついに証拠を入手したが、証拠を入手したのが犯人Bにばれて襲撃される。これが事件化する。

犯人Bに襲撃された状況

証拠を抱えているところを犯人Bに襲撃される。
被害者Aの善人っぷりをアピールするために、犯人Bが改心したと見せかけて被害者Aを人気のないところに誘導し、そこでばっさり、のパターンを今回は採用。殺しきれなかったあたりが犯人Bの迷いか良心か、ってところで。
襲撃直前に警察とか新聞社とかにタレこもうとしてた、という設定をつけると後で生きるかもしれないがこの辺は保留。

同僚Cの立場

被害者Aと同じく、犯人Bの部下。
そもそも犯人Bが横領してるんじゃないの? とかいうのに気づいたのは被害者Aではなく同僚Cが先だったかもしれない、というのは経理か総務をやってりゃ、なんかきな臭いのは感じるんじゃないでしょうか。で、同期入社だった被害者Aに相談した、と。
直接的な上司・部下ではないものの、犯人Bの人となりは知っていて、横領なんてするような人じゃなかったし、セクハラするような人でもなかった、という認識は被害者Aと共通している。なので、あんまりことを大げさにしたくはない=一時の気の迷いなんじゃないか、なんて希望を抱いていたりする。甘いですね。

同僚Cが誘拐される状況

PCが同僚Cと接触した後、にするのが無難なのは変わらず。PCがどう足掻いても同僚Cは誘拐される、と。
PCが犯人Bの職場訪問をした際に、同僚Cと接触する。被害者Aとの接触も終えていれば、その日の夜に同僚Cが誘拐される、という流れ。
犯人Bに呼び出されて単独行動を取り、誘拐される、という流れは変わらず。多少は警戒していたとしても、まさか誘拐されるとは思いもしなかったし、被害者Aを襲撃したのは犯人Bだろうという疑念もあるし、現在行方不明らしい犯人Bの居場所を通報して被害者Aの恨みも晴らしたいし、自分が言えば犯人Bも思い直すかもしれない、とかまあいろいろある感じ。でもそれほど(どうしても)一人で行かなきゃいけないと思ってるわけでもないから(なにしろ直接的な関係という意味では犯人Bとの関係は薄い)、PCが強く申し出るか、事前にきっちり仲良くなれてれば同行はお願いするかもしれない。
さて、ではどうやって誘拐させるかということだけど、PCが同行した場合、呼び出された場所には犯人Bは現れなかった、としてもいい。ここで肩透かしさせて、PCが同僚Cと別行動をとったタイミングか、あるいはPCの人数が減ったところで強硬手段に出る、ってところでいいんじゃないだろうか。
あるいはPLにぶっちゃけて、バトルけど誘拐させてね! と言い切っちゃってもかまわないけど、これは場の空気次第で。

犯人Bの人となり

豪放磊落でちょい悪オヤジ、みたいな。でもまあ、借金てかお金って人間変えるのに十分な破壊力持ってますよね、っていう。
余裕がなくなってるところに、業者(下請け?)から提示されたリベートの額が、何回かやれば借金返せんじゃね? という数字でぐーらぐら、もうすぐ子供も大学だ、みたいな展開だろうか。まあ家庭の事情に後押しされて、なんとしても借金返さなきゃ機運で手を出しちゃいましたキックバック賄賂、ってところでしょうか。
最初はびくびくしていたものの、案外バレもしないし誰も問題にしないし、案件自体は問題なく終わったしで、あ、いけるんじゃね? って空気になってたところでヴィシャス化したとか、なんかそんな。あとは転げ落ちる階段という。
ちょい悪オヤジが普通に悪いオヤジになっちゃいましたということで、まあ変化量は意外と少なかったけど、わかる人には露骨にわかるぐらいに方向性が変わっちゃったと。
使えるものではなんでも使え、利用できるものは利用しろ、それで誰も困らないなら自分が私腹を肥やしたって悪くはない、という自己正当化の論理の果てに、もう歯止めが効かなくなっちゃった哀れなおっちゃん。
なのでまあ、基本的には障害は正面から踏み破る系の人だけど、不確定要素には敏感で鼻が利く。そんな感じの行動原理で、大胆かつ慎重という非常にイヤらしい感じに。

セッティングされる場面

依頼を受ける場所

デモパラはわからないので省略。

警察署

事件の概要が聞ける。依頼者から誘導されて訪れる場所。

被害者Aがいる場所

病院。依頼者から誘導されて訪れる場所。

同僚Cがいる場所

犯人Bの職場。同僚Cは事務屋さんで決定。職場訪問したら応答してくれるのもこの人。今回は、露骨に犯人Bが犯人であることを示唆したり、協力を申し出たりする。そして犯人Bがやってた横領だか賄賂だかの可能性を(PCが信頼できそうだったら)告げる、ってところで。
依頼者から誘導されて訪れる場所。

同僚Cが監禁される場所

賄賂をくれた下請け会社の資材置き場とかが無難そう。
(追記)連帯保証人してた、潰れた会社の資材置き場、とかのほうがいいかもしれない。

ストーリーの分岐

導入後、病院、職場にいって、被害者A、同僚Cと接触することによって、同僚C誘拐イベントが発生。なのでやはり警察に行く必然性はあんまりない。
同僚Cの監禁場所への誘導をどうするか。被害者Aがいきなり意識を取り戻して、犯人Bと付き合いのあった業者とかの情報を提示した、と依頼者から伝える形でもいいんじゃないかなもう。賄賂だか横領だかの証拠は掴んでたわけで、それに関係してた業者ならまあ可能性高いでしょう、って展開で。
(追記)連帯保証人してた潰れた会社の資材置き場、であればたぶん一個しかないし、因縁も深いしで当確情報出しやすいかも。
あとは資材倉庫でバトルでオッケー。
エンディングでは、意識を取り戻した被害者Aと同僚Cが犯人Bを哀れっぽくみつめたり、僕ら気にしてません的空気でいつの間にかカップルですかあんたらみたいになってたりして大団円になりましたかね的空気でエンド。犯人Bは刑務所行きな(傷害と拉致監禁は動かしようがない、横領とかをどうするかはPLの様子次第で被害者Aと同僚Cに決めさせればいい)。
オチにだけ謎の少年を追加したらキャンペーン、しなかったら単発セッション、てところで。

まとめ

登場人物の立場を入れ替える、というのはシナリオ作成段階では私はしょっちゅうやりまして、まあこんな感じでもう一つぐらいはバリエーションが出る(同僚Cが犯人パターン)わけですが、そこまでここで書くかは不明。
けっこうあれこれ弄ったりしてると、一つだけ考えてたときには気づかなかった要素が出てきたりして、精度を上げるのに役立ったりもします。視点を変えるのは大事ですが、自分で作ったものを虚心で見つめなおすのは難しいので、まあ見えてるもの自体を変えちゃえって論法です。
なんかの参考になればなってことで追加でネタ出ししてみました。