あるプロジェクト参加者の手記(2)

『Project Maria』

本プロジェクトの骨子となるのは、天使兵とは異なる天使の存在にある。
有史以来、天使、と呼ばれる存在は、公式には確認されていない。しかし、古代種と称される、エルフェンや鬼の存在がある以上、人類以上、あるいは人類以外の知的生命体が存在していた、あるいはいまも存在している可能性は否めない。
ここで言う人類とはホモサピエンスのことだが、エルフェンや鬼は血統(要するに遺伝)によってその特性を継承することから、遺伝子レベルで別生命であった可能性がある(ただし現在はこの区別はない)。遺伝学については専門ではないのではっきりとしたことは言えないが、人類の遺伝子と互換性を持った異種の生命の遺伝情報が人類の血に紛れ込んでいるなどということは、想像するだに不気味な話である。
我々は自らの血の内にエイリアンを飼っているに等しいのだ。
ではこの異種の存在とはなんなのか、という疑問が残る。一説には神話は事実であり、古代種はその証明だ、という。また別の説では、超古代において異星の生物が地球を支配しており、人類はその異星の生物によって生み出された人工生命であり、古代種とはその天敵(あるいは朋輩)として生み出されたのだ、という。
どちらも与太話の域を出ないが、古代種についてはその発生についてなんの解明もなされていない以上(そもそも人類の発生自体が解明されてはいないが)、どのような可能性もありえないと否定することはできない。(ただし、可能性の大小ぐらいは論じてもいいだろう。異星の生物、などという発想は誇大妄想にすぎる)
そしてこの古代種の系統の一つに、そのものずばり、天使の血統がある。