PLを信用しないGM

この手の話題は尽きることがないんだなあ、とあちこち見ながら思いつつ、思ったことを適当に書き残してみる。
ただしこれらは基本的にコンベンションという環境において語られることが多い話題であり、サークル活動の例会などにおいては特筆されることはあまりないようなので、コンベンションに参加したこともなければ参加する気もない私の視点はきっとずれてます。
また例によって理想論なので、まあ、理想論だと思って読んでください。現実は必ずしもこの通りにすっきり割り切れるものではありませんが、割り切った地点から書かないとなにも書けませんので。


前提。PLを信用しないGMがいる。
設問。GMがPLを信用できないのはなぜか。
回答。GMGMを信用していないから。


これは私自身にも言えることですが、自分のマスタリング能力というものをどの程度に設定しているのか、ということと、TRPGというものをどの程度理解しているのか、ということが絡んでくる問題*1であるように思います。
セッションは水物です。シナリオ通りの展開というものは、基本的にはありません。そこでアドリブが必ず必要になるわけですが、アドリブの苦手なGMは、自分のマスタリングに自信を持つということがなかなかできません。セッションの流れが滞る、場が白ける、そういった状況が想定できる、あるいは、経験しているからです。
セッションがうまくいかなかった場合、疑うべきはまず自分です。他人のせいにする*2ことは、あまりありません。相性の問題が出てうまくいかなかった、というようなこともありますが、それは相手だけに原因があることではなく、自分にも問題があります。相性なんだから、誰か一人のせいにできるわけがありません。
この時点で、相手*3がいい悪いということを一方的に語ることはナンセンスです。そこで反省するわけですが、こうして反省が積み重なると、自分のマスタリング能力というものに疑問を持ち始めるようになります。
それが「GMを信用しないGM」の始まりなんじゃないかと思います。*4


さて、GMGMを信用できなかった場合、GMが自分のマスタリングに自信がもてなかった場合、PLに「楽しいセッションを提供できるぞ」と考えられるでしょうか? 私ならそんな考え方はできません。どうやって楽しんでもらえるか、自分はどうすればいいのか、考えれば考えるほどわからなくなります。*5
おそらくはそういった齟齬、GMという「提供側」とPLという「需要側」の立場的な齟齬から生まれるのが、「PLを信用しないGM」なのではないかと思います。そしてこれは、一概に悪いとも言えません。PLを全面的に信用してなにもかも投げっぱなしでやるというのは*6GMの必要性がなくなります。ぶっちゃけ全員PLでいいんじゃないでしょうか。
そうした「立場的な齟齬」が根幹にあるのであれば、FEAR系のセッションではよくあることのようですが、PLがNPCを演じるというような「立場の差」自体をなくしていく措置が有効に機能していくのではないかと思います。GMが「提供だけする立場」ではなく、PLが「提供されるだけの立場」でもない、より両者が近づいた形での役割分担、「場の全体の責任を全員が持つ」という*7意識を、全員が共有しやすい形でのセッションの形になるのではないかな、と。

おそらくはGMというラベリングとPLというラベリングが上手に機能しなくなってきているというのが原因にあるのだと思います。ラベルはただのラベルで、本質を意味するわけでも本質を現しているわけでもありませんが*8、少し前の状況を見ていると、GMとPLの立場の乖離が凄まじかったように思え*9、それはGMとPLというものを定義づけているものが乖離させていたんじゃないかなと思うわけです。*10
そういう意味では、GMとPLの立場が近づきつつある最近の流れは非常に好ましいのではないかな、と。
もちろんそういうマスタリングが苦手なGMの人もPLの人もいると思うので、手放しで誉められるわけではありませんが、TRPGとして全体を見た場合、そういったスタンスこそが本来の姿だったのではないかと勝手に思ったりします。

*1:実際には問題ではありませんが

*2:原因を他人に押し付ける

*3:自分以外の参加者

*4:原因ではありません

*5:最近は考えません。理由は後述

*6:そういうスタイルだ、ということであればそれまでですが

*7:あえて言うほどのことではないんですが

*8:それぞれが違うものだと識別はできるでしょうけど

*9:私がそういう場にいただけという可能性は上げておきます

*10:ここで言う「定義づけているもの」がラベルなんじゃないかなと