シナリオ記法

同人誌用シナリオの書き起こし作業中、1つの錯誤に気づきました。
私はシナリオは「詳細であればあるほどいい」と思っていましたが、そのシナリオをそのまま他人が使用しようとした場合、「詳細な記述は想像力を減退させる」ということです。
「詳細な記述」=「想像の余地の削減」という、単純な方程式が、マスタリングにおける思考停止を招く可能性が高い……書かれていない部分に対する対応を迫られた時、「記述がない」という理由からパニックになってしまうのではないかと。


ある程度エンゼルギアに限定してしまいますが、というかそれ以外のシナリオは最近読んだことがないんですが、昔、ソードワールドをプレイした時も、オフィシャルなシナリオ集を買っても、「この展開を導き出す情報はどこにあるんだ?」と何度か思ったことがあります。
シナリオというのは、そういった「記述されない部分」がもっとも重要なのではないだろうか。これによって、セッション環境が千差万別であるために、想像の余地、揺らぎ、マージンを多く取ることによって、それぞれの環境において最適化「してもらう」ことができるのではないか。
必要なことは、「詳細化=具体化」ではなく、「抽象化」ではないのか。
もちろん、セッションの準備段階にあっては、詳細に書いてあったほうがプレイがしやすい。これは事実です。しかし、シナリオの骨子の部分を抽出して抽象化し、個々のGMが肉付けしやすいシナリオにするのが、「他人に遊んでもらうシナリオ」としては正しいのではないか。


「本当に必要な情報のみ残す」ぐらいまで情報を削減しているからこそ、表面上は突っ込みどころの多い、しかし逆にどうとでもできる(辻褄合わせのしやすい)シナリオができるのではないか。
至極当たり前なことを書いていると思いますが、「自分が遊ぶシナリオ」と「他人が遊ぶシナリオ」は明確な違いがあることを意識するためにも書き残しておきます。