矛盾なき時間(3)

オープニングシーン タイムジャンパー

完全機械化兵との会話

「私はこの世界の未来を変えるために、2001年、つまり2年後の未来からやってきました」
「私が異常かどうかは、存分にチェックしてください。規格はいまも2年後もそう大きく変化していませんから」
「私は私に異常がないことがわかっていますが、それでも異常が発生していることはわかっています」
「私は、いまこの世界で具体的になにをどうすれば世界の未来を変えられるのか、それに関する情報が一切ありません」
「これはタイムジャンプ前から言われていたことですが、私からは未来に関する記憶のほとんどが失われています」
「必要最低限の情報を下回る範囲でしか、私は未来を記憶していません」
「なぜなら、不必要な未来の情報は、このタイムジャンプを成功させた存在にとっても、好ましいものではないからでしょう」
「私が持参した親書も、おそらく同様の状態でしょう。破れていたり、汚れていたりして、一部の文字が読めなくなっているはずです。私の身元を保証する何人かの署名がかろうじて確認できる程度だと思います」
「時間は、未来が過去へ介入することを、異常なまでに恐れます」
「そのため、タイムジャンプの成功自体、確率的には気が遠くなるような割合でしか成功しません」
「……我々は、鎖国前からタイムジャンプの研究をしていました。それでも成功したのは、今回だけです」
「原理は何一つ変わっていません。技術的にも進歩したとは言いがたい状況です」
「それでも今回は成功しました。……だから私は、時間に介在する意志を信じます」