作用・反作用

これは私自身が整理し切れてない話なので、その分を割り引いてもらって、読んでる人に考えて欲しい(聞いて欲しいではなく)ことです。特にうちのサークルの人に読んでもらいたいと思ってますので、対象はそのあたりを想定して書くことになります。部外者の人にはわかりづらいかもしれません。


前置きはこのぐらいにして、タイトルの件。
TRPGの要素として、「口プロレス」があると思います。会話を主体に進行するゲームである以上、これは必然です。口プロレスという表現が気に入らない場合は「交渉」でも「対話」でも好きに置き換えてください。要は「相互に発言することによって意見(行動)を調整する」ことです。
作用・反作用と言うと力学的な話ですが、これは会話にも応用できます。発言Aのエネルギーと発言Bのエネルギーがぶつかりあった場合、エネルギーの大きい発言が作用:発言内容が発言対象に影響を及ぼすを与え、エネルギーの小さい発言が反作用:発言対象から発言内容に影響を受けます。(発言主体を問いません。GMであれPLであれPCであれNPCであれ同じことです)
適切かどうか不明ですが、一つの例として、「君はファイターだから前衛に出るべきだ」という発言と「君は魔法使いだから前衛に出るべきだ」という発言があった場合、前者はエネルギーが多く、「君」を「前衛に出す」という結果を生みますが、後者はエネルギーが少なく、「発言者」は「魔法使いを前衛に出すと言うのはおかしい」という結果を生みます。
TRPGにおいてこれが難しいのは、「発言のエネルギー」というものを決定する一意的な基準が存在しないからです。先の例で言うと「ファイターが前衛に出るのは当然」という暗黙の了解(でも常識でもなんでもいいですが)があるからこそ「エネルギーが大きい」ということになりますが、「魔法使いが前衛に出るのは当然」という暗黙の了解がある場合(ゲームによってはありえるでしょう)は、この限りではないからです。
なので、極端に抽象化してしまうと、「口プロレス」というのは、発言者同士の先入観のぶつかり合いになります。状況、シチュエーションに対する認識に齟齬が生じている場合(先入観を持っている場合)、自ずと意見は分かれ、対立します。


で、本題。
TRPGにおいて、これは敵味方という関係を問わず、交渉の発生は、目標の発生に直結します。
「こんにちわ」という発言は、「挨拶」という目標を持っています。
「ぶっ殺してやる」等の発言は、「交戦」あるいは「威嚇」という目標を持っています。
発言を行う場合にもっとも重要なのは、「発言者の目標」が「対象」に対して正確に伝わることです。ロールプレイなんてものは、その後にくっついてくるものです。逆ではありません。「キャラクターらしい発言によって対象に対して正確に目標を伝える」のがロールプレイです。
もちろん、発言内容、目標設定、対象設定などの状況は時々に応じて異なります。発言者の状態も当然関係してきます。(ひ弱そうなやつに凄まれてもあんまり怖くないです。怪我だらけの人がもうすぐ死にそうなのはいわなくたってわかります)
包括的な状況を判断して、自分の目標を対象に伝える発言が「口プロレス」において重要になりますが、「口プロレス」と言うと、大体の人が「とりあえず大きい声で意見通ったら勝ち」と思ってるように思うので、それにケチをつけさせてもらいます。直接的には関係ありませんが、そもそものプロレスにしても、直接的な(あるいは短絡的な)暴力を意味しているわけではないはずです。プロレスというルールに則っています。(といいつつプロレスに詳しいわけではありません)


「発言をする」ということは、「その発言を聞かれる」ということです。
「発言を聞かれた結果」を無視して「同じ発言をする」というのは、交渉の欠落です。
「発言をする」ことは大事だし、「発言の反応を聞く」ことも大事なことですが、「発言に対して反応する」こともまた大事なことです。「発言された内容を自分は理解している/していない」ということを伝えないのは、これもやはり、交渉の欠落です。
「発言を聞かれたくない」なら発言をするべきではないし、「発言に対する反応を聞かない」のであれば、やはり発言をするべきではないと思います。それらはすべて交渉の欠落です。
「交渉」を前提とした「TRPG」において、交渉の欠落は本末転倒です。
気をつけていきたいなあ、と思います。