奈落(1)

奈落というものの扱いについて、ルールブックを読んでもよくわからない。とにかく「昔の悪役風」に、世界を破滅させようとすればいいんだろう。目的は決まっているが動機は決まっていない。それは自由に決めていいということだろう、と解釈する。
自分がアルシャードをやる時は、その辺をうまく活かしたいなあ、と思ったのでつらつらと考える。脳内設定で補完してシナリオネタにする、それがTRPGらしさだと勝手に思うことにする。


奈落とは、【弱き人々の強き願い】である。
【存在の堪えられない軽さ】から逃れようと、虚無主義的に【何もかもをなかったことにする】という願望が奈落を生み出した。
それは、結果的にアスガルド、理想郷へと至ることを目的とするようになった。理想郷以外の破壊できるものをすべて破壊し、最後に残ったものを理想郷とする。そんな乱暴な方法論によって、【存在すべき場所に存在する】ことを願った。
【あるがままの世界】を受け入れられなかった【弱き人々】が奈落を生み出した。人という表現は、生命体としての定義ではなく、【意志ある者】としての定義のことである。ゆえに神々もこれに含まれる。
奈落に意志を奪われた者は【運命の殉教者】とも呼ばれる。絶対的なものがない世界で絶対的なものを願い、それをよすがにしようとした者の成れの果てである。別名を【懐疑する者】とも言う。すべてを疑いつくしてもなお否定できないものこそが確かなものであり、そこにこそ理想郷が存在する、あるいは理想郷への手がかりがあると信じる者である。
奈落は取り憑く対象を選ばない。それは人の心から生まれるものであるが故に、誰にでも取り憑くことが出来る。
人の心が破滅に向かった時、それは生まれる。