完全機械化兵の欺瞞

連休でサークル内討論を行った結果、「脳クローンは現実性が低すぎる」という結論に。
理由としては、「脳だけをクローンすることのメリット」があまりないこと。設備が膨大になり、処理は煩雑になり、扱いは繊細になりすぎる、というのが、「脳クローン」のデメリット。
脳の構造的な成長だけを取り上げれば、ホルモン投与等による成長促進(公式シナリオ「幸せで、あるように」脚注参照)は可能であろうと思われる。
ただし、脳内部の神経ネットワークの成長は、例えば擬似五感信号を機械的に生成するなどで常に刺激を与える必要がある。「神経ネットワークは使い込みによって構築される」以上、五感の情報を与えなければ、いきなり脳に義体をくっつけても操作不可能と思われる。*1
このため、脳のみの状態でも擬似五感信号を与え続ける必要があるし、義体に搭載した段階で、擬似五感信号と実際の五感信号の摺り合わせが必要になると思われる。
ぶっちゃけそんなの無駄すぎる。コスト的にも技術的にも。擬似五感信号をシミュレートさせる装置だけでものすごい演算性能が必要になることは想像に難くない。つまり、量産に向かない。しかし完全機械化兵は量産を目的としている以上、そんなことではいけない。
いくら軍部が強権を握っていたとしても、国家というのは経済活動の一形態なわけで、歳入を無視した無限の歳出なんでものはありえない以上、量産を目的とした場合、その効率化も必要になるわけで、実験段階、つまり量産の前段階であれば上記のような手法も取られたかもしれないけれど、実戦配備段階においてそんな非効率な手法をとり続けているとは到底思えない。


そこで私が提唱するのは、「母体を利用した全身クローン」を作成し、これを促成成長させて「全身を義体化」するというもの。義体化技術自体は機械化兵で証明済み、という前提であれば、おそらくこれがもっともコストがかからない。
ただし戦闘技術はともかく、それ以外の知識を詰め込む時間はほとんどないと思われるので、「命令に忠実だけど一般常識のない」おそるべきアンドロイド(実際にはサイボーグ)が生まれるものと思われる。
それって兵器としてどうなんだろう、と改めて思ってしまった。

*1:通常、というのは脳クローンではない、という意味ですが、母体内での生育段階でこういった五感情報や身体情報を学習していくのかなあ、というのは単なる想像