システムの乱立と標準の不在

とてもよく似てる。

独占が業界を育てた――ゲイツ氏にわれわれが感謝する理由 | WIRED VISION
http://wiredvision.jp/news/200807/2008070122.html

Google社と米Yahoo!社のカレンダーサービスを同期させるのに苦労する。手持ちのビデオカメラから新しい『MacBook』にデータを転送できない。自分の『iPod』と友達のMP3プレーヤーでファイルを共用できない。携帯電話でウェブページを正しく表示できない――これらの問題はすべて、広く支持される標準がないことに原因がある。

TRPGのシステム(主に基幹システム)は標準化されず、各社どころか各レーベルごとに独自のシステムが乱立して、ひとつのシステムを習熟するためのコストを跳ね上げ、結果的に(メーカにとっては囲い込み戦略になるのかもしれないが)ユーザが多数のシステムを遊ぶコストを引き上げている、とも言える。ルールブックの販売価格は大した問題じゃないので放置します。PS2のゲームだって定価で買ったら5800円とか6800円なんだから。
外部的にはGURPSのような標準化可能なシステムもあるけれど、結局汎用システムは汎用システムとしての視野の広さや懐の深さがもたらす雑多さや複雑さによってユーザに負荷をもたらしやすいという側面もあったりするから難しい。


例えばWindowsが普及した理由は、「とりあえず簡単に動いてとりあえず簡単に文書作成ができてとりあえず簡単に表計算ができる」とか、まあそういったユーザの利便性を追及した部分にあるんだと思います。それがセキュリティ問題を引き起こしているとかそういうのはまあ横に置いておくとして。
言い換えると、バックグラウンドで非常に複雑なシステムが動いていても、ユーザはそれを意識せずに簡単な操作だけで目的を叶えることができるようになっている、ということです。厄介な副産物があるにしろ、「使いこなそうとしなくても使える」というのはアドバンテージであると言えるでしょう。


翻ってTRPGにおいては、「使いこなさないと使えない」のが当たり前になっているように思えます。あるいは、「使いこなして遊ぶのが正しい遊び方」という正統派思想な思い込みが支配的であるように思います。主に自分。もしかしたら他の人も。CRPGで言うところの「やりこみ系」の遊び方が標準になってるみたいな。
そういった部分を解消するためにレジュメだのなんだのでコンベンション環境では工夫しているらしいですが、なんでメーカがそれをサポートしてないのか、あるいはサポートが足りずに自作する必要があるのか、という点については考慮する必要があるように思います。


ルールブックには、必要最低限っぽいチャート図が載っていることもあります。しかしまあ、ぶっちゃけると、全然足りないし、しかも見てもよくわからないことのほうが多い。直感的ではないという意味で。多少は改善されてきたような気もしますが、CRPGがものすごい勢いで進化してきたユーザインターフェースという文化が、TRPGでは圧倒的に劣っている、ような気がする。
ここまで書いて、最近ルールブック買ってねーやと思いましたが、具体的な検証はリプレイがちょっと面白かったSW2.0のルールブックが出揃ったらやろうと思うので、それはさておき。


誤字脱字の量とか、日本語がわかりづらいとか、そういう部分の問題です。システム部分の洗練はだいぶ進んでいる(と思う)ので、ユーザインターフェースを改善して欲しいなあ、主に自分のために。という個人的な欲求があります。
言い訳を兼ねて自己弁護をすると、「TRPGはわかりづらい」と思っている人にわかりやすく説明するための工夫が(努力はしてると思うから)もっと必要なんじゃないだろうかと思う今日この頃。
製品紹介ばっかりの公式ページだけじゃなく、ね。