例外処理の取り扱い

アルシャードとか、アリアンロッドぐらいしかデータ打ち込みやってないので、あんまりスキルとか把握してるシステムが少ないので一般化できるかどうかは厳密にはわかりませんけども。
スキルとかのタイミングとか効果で、一般的な処理フローからすれば、必ず例外的な処理が発生するものが一部あります。
そういうのがあると「こんなもんプログラムに組み込めねえよ」と処理ロジックに頭を悩ませるわけですが、それは果たしてプログラムだけの問題なのだろうか、とも思ったわけです。逃避的に。


もっとも、根本的に、TRPGというのは例外処理の塊であって、だからこそそこは人手で処理できるようになってるし、するべきだろう、とも思うので、それ自体の功罪は特には問いません。アナログとデジタルのどっちが優れているのか、という論争みたいなもんで、適材適所の問題だろうし(ともすればコスト論争にすり替わりますが)。
例外処理、と大雑把に書いちゃってますけど、それはプログラム的な観点でしかなくて、本来的にはTRPGにおいては例外処理も正規の処理に含められているものです。例外処理しかないということであれば、それは例外処理ではないのです。変な逆説ですけど。設計上、そうなっているんだから、それはそういうもんだ、ってことです。
ルールやリソースという観点で考えた場合、CRPG、特に最近FF6をイメージしてあれこれ模索しているんですが、いわゆるマップ移動画面と戦闘画面は全然別物で、それぞれでできることも違います。マップ移動画面では攻撃魔法は使えないし、戦闘画面では移動魔法は効果が異なります。


TRPGではこういう明確な区切りというのはなんにつけても存在せず、もう本当にひたすらに混沌とした状況で混沌とした認識のまま進みます。ただしこれは割り切りの不足ではないかと感じているのは、後述の要素があるからです。
シーン制の一番いいところは、そんな混沌とした状況の中でも、シナリオの進行状況を探る手がかりを与えたことだと思ってます。オープニングでは演出戦闘、ミドルではボスは出てこない、クライマックスにはボスが出てくる、わけです。
言い方と認識を変えましょう。状況というのは、分類して整理可能なものである、ということを明示したのがシーン制である、ということです。
なにによって整理することが可能なのか、と考えた場合、シナリオリソースということになるでしょう。プロッティングされている場合は。フルアドリブとかだと全然別物になってきますけど、それはまあとりあえず整理が必要にならない気もするので、脇に置いておきましょう。
その他、ミドルフェイズだとGMも戦闘とかで手加減するけど、クライマックスだと絶対に手加減しないとか、個人の特徴を表現するのにも使えるんじゃないかなあ、といま思いました。マスタリングスタイルの整理。ちょっと面白いかもしれない。


整理がなんのために必要なのかというのは、客観性の担保のために必要になります。共通認識、と言い換えてもいいです。私自身はやったことありませんけど、メタルフィギュアとかを使って、実際のマップ上にキャラを配置するというのは、誰から見ても同じ状況を認識するための整理である、と表現することも可能です。
この辺の整理がついていなかったから起こる事故、みたいなのもあるんじゃないでしょうか。最初は演出戦闘でいい気になってたのに、クライマックス入ったらGMが手加減してくれなくて死んだとか、なんかそんな。おいおい空気読めよって突っ込みになるのかもしれませんけども、空気が読みやすい環境だったかどうかってところは大事だと思うのです。
もっとも、整理したからといって事故がなくなるわけでもありませんが。それはルールであれシステムであれ運用であれ同じことなので。


そうして整理を進めると、矛盾が生じるわけです。TRPGでは、整理からはみだす例外処理が常態化している。そしてそれあってこそのTRPGだとも言える。TRPGという枠組みを決める部分は整理できるかもしれない。状況を整理するためのシーン制という手法は使えるかもしれない。しかしそれは部分最適であって、全体最適には至りえない。そうなってしまう。
なにが一番の原因にあるかといえば、「TRPGは自由である」という、「例外処理の常態化」を肯定する要素。ルールの制約は受けるにしろ、選択に制約を受けない以上、基準が存在しないのに例外処理だけが横行する「自由」がまかり通ることになる。
何度も書きますけども、それがいいとか悪いとかいう話じゃないです。自由を自由のままにした上で整理できないか、ということです。
CRPG的な制約を組み込めば、例外処理を劇的に減らすことは可能です。それが実効上の意味を持つことも確かでしょう。事故もきっと減ります。しかしそれではTRPG的な「楽しさ」はなくなる。まあ、そのTRPG的な楽しさなんてものはただの幻想ですが、それはさておき。


具体的な解決策という意味ではまだなにも思いついていませんが、もっとシステムによる管理(GMによる管理ではないところがミソ)を進めた形で整理できるんじゃないだろうか、ということを最近考えてます。
言い方は悪いんですけど、「ここではこれをやっていい/やっちゃだめがわかるようなシステム」ということです。CRPGのように、「戦闘シーン」と「マップシーン」の区別がつくシステム、ってことでもいいでしょう。
割り切ることによって生じるデメリットは当然あります。でもメリットだってあります。バランスの上で重要なのは、バランスが取れているかどうかもありますけども、自分の好むバランスを選択できるかどうか、ってことにもなってくると思います。
たとえとしてよく使いますけど、FFとDQを一緒にすることに意味はないわけで、それぞれのバランス感覚をユーザが選択して遊べばいい、ってことです。ここでいう割り切りは、FFのバランスを好むユーザがいるのに、DQのバランスを好むユーザのためにFFのバランスを歪めない、ってことです。商業的には折衷も必要かもしれませんが、嗜好品的には中途半端なものは不要なこともあるわけで。


TRPGなんて元からニッチな遊びなわけですから、そこでさらにニッチにしちゃうと商業的にまずいってのもわかるんですけどね。
ただまあ、先鋭化してるってのは悪いことじゃないと思います。遊びやすさの面からも。