『神殺しの傷痕』(6)

・【神機】骸


 本名不明。世界大戦中に発生した大量殺人事件の犯人が素体。
 生前の記憶は断片的に有している。これは、生成の過程で、素体となる魂の上に、俗人の想念を塗り固める形でエーテル存在として固着させたため。
 殺人事件自体は前述したように冤罪。父なし子だったため村八分扱いをされていたため、軍の情報操作によって犯人とされた。
 裁判中は投薬により精神錯乱に近い状態にあった。
 刑死の直前、恫喝じみた遺言を残したというが、詳細は不明。それを聞いた死刑執行人はノイローゼになり自殺。*1
 世界に恨みと憎しみを残した。


 神機としての覚醒時、本来であれば『殺人者からの守護』の属性を得るはずが、実際には生前の意志が強く残ったため、『罪なき者の守護』の属性に変質している。
 この変質は、柚島と骸が共謀して隠蔽したため、陰陽部も気づいてはいない。
 柚島と骸の共通点はここにある。『理不尽な死に対する怒り』が彼らを繋ぐ絆である。
 柚島殺害時、骸は最後まで反対したが、柚島が強固にそれを主張したため、最終的には殺害に至った。おそらく、周囲には理解されえない理解が、この二人の間にはある。
 骸に殺害された柚島は、僕使として黄泉返る。それは、黒色天使に殺されたものが灰色天使として蘇るのと同様の現象。ただし、いままで知恵を持って黄泉返ったものはいない。*2
 黒い天使核を持つものがどうなるか(黄泉返るか否か)については賭けだった。そのため、骸と近い属性を持つ鷹野つぐみが選ばれ、殺害された。


 実際にはこれらの策謀を、柚島と骸の二人で実行することは出来ない。陰陽部にも協力者がいる。
 重要なファクターとして、骸は神機として黄泉返ってからは、殺人行為を行っていない。

*1:ただしこれは都市伝説とも言われている

*2:このため、骸は柚島殺害に反対していた