妄想日記
「はあ? よくわかんねえな。なんで死ぬんだ?」 「ちょっ、ヴァンっ!!」 「なんだよ。真智にはわかんのか? 俺には全然わかんねえ」 真智が慌てる気持ちはわかるが、慌てる意味はよくわからない。慌てたところでどうなる話でもないし、こういう話は遠回り…
午前中は整備の連中との打ち合わせがあったので、午後から登校することになった。どこのサラリーマンだ俺は。 まだ昼休み終了のチャイムは鳴っていない。昼飯は食っていないが、遅い朝飯なら食った。次の授業はアクシアが教師だから、理由をつけて昼食に行っ…
それが定めだと言われたら、これが私の意志だと答えるだろう。 「やっぱひるひるにはうちがついてやらんとダメやんなあ」 戦場を縦横無尽に駆け巡る戦闘機を操るのは、神室日向。 「うっさいわねバカ! ちょっと敵が多かっただけじゃないの!」 その敵の数を…
必要のないものは、どうしたところで必要がない。 「それでもお前たちが僕たちについてくるというなら、それはお前たちの勝手だ」 捨てられた子犬のような、思わず哀れんでしまいたくなるような表情で、ギアドライバーとナビゲーターのコンビは息を飲んだ。 …
開け放たれた扉から、ヒルトが入ってくる。 気だるい気持ちでそれを眺めながら、物憂げに手を伸ばす。 ヒルトはなにも言わずにその手を払い、有無を言わさず口付けをしてきた。 沈黙。されるがままに任せる。そんな自分を愉快に感じる。 「……殺してやる」 ヒ…
決断するしかないのであればそうするしかない。 「桜花っ!」 アクシアの声が響く。同時に銃声がこだまする。 銃撃を避けたアクシアは、派手に床に転がった。 「アクシア・リヒトヴィッツ。お前は良い兵隊だ。だが、兵隊でしかない」 立ちふさがるものはなん…
迷っていた。 「なに辛気臭い顔してんの?」 言っている本人のほうがよほど辛気臭い顔をしながら、ヒルトは顔を上げた。 「たまーにめずらしーくあんたのほうから来たと思ったらだんまりだし。新手の攻撃のつもり?」 負けないわよ、とでも言うように、ファ…
「君が桜花?」 その少年は、気がつけばそこにいた。 「そうだが」 生返事を返し、射撃訓練を続ける。新入りに声をかけられるのには慣れている。理解できないことだが、他所の基地でまで自分の名前は知れ渡っているらしく、わざわざ見物したがる連中がいるの…
終結。 すごく長くなった。
予想外方向に進行中。 そして終わらず。
まだ終わりません。
さらに続きです。
続きです。
わけもなく隠します。 あとたぶんハッピーエンド方向には進みません。 タイトルは仮称ですが「君に届く物語」です。 あと三回ぐらい書けば着地点までいけるんじゃないかな、と。 あんまり書く気ないというか、妄想してるだけで楽しいんですが。
欝話なので隠します。 あと書きかけです。
「なぜあのような完全機械化兵を使うのですか?」 作戦終了後、単刀直入に切り出したのは、御前静中佐である。 「友軍を無視して単独で天使兵の群れに突入し、あまつさえ味方ごと撃墜しかねない方法で殲滅した。戦果は認めましょう。それは揺るがない事実だ…
ぼへーっと空を見上げていた。 まあ、なんというか……それでなにがどう変わるわけでもないわけだが。 そうしていれば、あいつが空を飛ぼうとした理由がわかるような気がして、というのは、恥ずかしくて口に出せはしないんだけども。 「またぼーっとしてる」 …
中学生になった。だからといって生活が変わるわけでもない。少女がいなくなった分、孤独さが増しただけの日常だった。 それでいて、世界に対して興味を持てなかったのだから、その孤独も結局は自分が選んだものだということだろう。 拒絶される可能性よりも…
なぜかはわからないが、その少女にはよく話しかけられた。 いま思えば、少女もまた集団には適合できなかったから、孤立した人間同士で群れるという矛盾を実行しただけだったのかもしれない。 孤児院という環境の中にも、派閥はある。そういう環境だからこそ…
世界はぼんやりとしたものとして認識されていた。 過去がない。物心がつく以前の記憶というものがどれだけ残っているものなのか、これは個人差があるらしいが、これがまったくない。八歳になる以前の記憶がまったくなく、八歳の誕生日(と呼ばれている日)に…
「なるほど。それは私にとって簡単なことだった。私は君達を殺さずに殺すことができる。だが、それが何によって支えられているのか? 君達はそれを知らないから、気軽に私を責める」 「貴様のやったことが簡単だとっ!?」 「簡単さ。人も家畜もなにも変わら…
人形を抱きかかえ直しながら、彼女は母親を見上げた。 「お母さん、これからお仕事があるの。ここで待っていてね。ね?」 彼女は涙を堪えて頷いた。仕事、というものがどういうものかはわかっていなかったが、それが大事なことだということはわかっていた。 …
後ろから撃たれた瞬間、すべてを理解した。 撃たれた衝撃で壁に叩きつけられる。防弾着のお陰で貫通こそしなかったが、肋骨が数本折れた。至近距離で散弾銃並の威力の拳銃……機械化兵でもなければ撃った者の肩が外れるだろう。 壁を背に、体を起こす。苦痛の…
ずっと調子は悪かったので、その天命がついに尽きたということには、特に感慨はなかった。 ただ、ひたすらに面倒だという気持ちだけがある。なんとか基地近くまでは辿り着いたものの、ここから先どうしろというのか。 まあ、押して歩くしかないが。そう胸中…
相変わらずむさくるしい場所だな、と思いながら、戸口から先に進む気になれず、開け放たれたドアをわざわざノックした。 数人が顔を上げてこちらを見たが、ああ、とでも言いたげな顔をして、またもとの作業に戻った。不親切な連中だ。 「おう、コレットの嬢…
初弾は回避された。相対距離は3m程度しかないというのに、あっさりとかわしてくれる。とはいえ、完全機械化兵であれば、カタログスペックの内だが。 かわした勢いで突っ込んでくる完機を見つめながら、後ろに跳躍し距離を取る。それ以上の速度で突き進んで…
幸せになりたい、ってなんなんだろうな、と、学校の屋上で夕日を見ながら、経堂一矢は呟いた。 「なにそれ? ギャグ?」 答えた篠宮秋は、夕日には背を向けている。必然、二人の視線は交わらない。 「ちげーよ。マジな話だ」 「マジなほうがやばいと思うけど…
「選ばなければならないものは常に一つだ」 「一つ、ですか」 「そうだ。生きるか死ぬかだ」 「……選ぶ必要が?」 「ある。こともある。生きるということは、殺すということだからな」 「なぜですか?」 「お前の生存が他者の死の上になりたつことがある、と…
そうすることが正しい、と言われれば、そうなのか、とは思う。 「いやいや、でも本当にそういう問題か?」 どうにも疑念が払拭できない。説得者の素性を考えれば当然のことなのだが、その言葉には(それこそ胡散臭いまでの)説得力があるのも事実だった。 曰…
「神様は人間が嫌いだから人間を作った、という話。信じる?」 「信じるもなにも。それならなんでわざわざ作ったのさ?」 「理由その一、神様は全知全能だから、あまりにもなんでも思い通りに出来ることに飽きてしまって、思い通りにならないものを作りたか…